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注意力テスト|なぜ観客はマジシャンのタネを見破ることができないのか

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マジックを見たとき「どうなってるんだろ?」「きっとあれはこうしてるはずだ」「今のは分かったぞ」などと、タネを想像することは、不可解な現象を目に前にしたのですから、自然な行動でしょう。

その際、よく言われるのが「きっと手先が器用なんですね」だとか、「すごい高速で手を動かしてるんですよね」ということ。

確かに、トリックの中には、手先が器用であったり、スピードが求められる解決法もあります。

でも、それはほんの一部です。

考えてみてください。

いくら手先が器用であって、高速で何かの作業ができるとしても、そこに注目している人間の目を誤魔化すことはできません。

ほんの少しだけ、マジックのタネあかしをすると、多くの場合、マジックの秘密の動作は、何気ない動きに溶け込んでいます。

時には、ばかばかしくなるくらい大体に秘密の動作を行います。

 

これに関して、とっても面白い海外のCMがあります。

イギリスのCMで「注意力テスト」という題名です。

皆さんも何回ボールをパスしたかを数えてみてください。

ぜひ動画見て頂いてから、読み進めてください。

いかがでしたか。堂々とムーンウォークをする「くま」の存在に気付きましたか。

多くの人はくまの存在に気付きません。

「ボールを数える」ということに意識が集中している間は、どれだけ不自然なことが起こっても見逃してしまいます。

マジシャンもこのような、人の意識の特性をうまく利用します。観客の意識を逸らしたり、意図する方向に導いたりすることを、専門用語でミスディレクションと言います。

マジシャンは指先の技術やタネ仕掛けだけでなく、このようなある種独特の表現法を用いて、タネを守っています。

だからと言って、あんまり見破ってやるぜ!て感じでご覧頂くと目が怖いので、ぜひ目の前の不思議を素直に楽しんで頂けると僕は嬉しい。笑