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川崎市中一殺人事件|”ネット私刑”は正義か

川崎市で起こった悲惨な事件。

非常にショッキングな事件で、日本中に波紋が広がっています。

それと同時に、ネットを中心に加害者の実名や顔写真拡散が目立ち、一部メディアによる実名報道も行われました。

これまでにも、少年法が適用される年齢の加害者の扱い方は問題になっていますが、今回はより顕著のように感じています。

私的制裁は正義か

今回の事件に限らず、最近では何か事件があった際に、その加害者や当事者をネット上で実名や顔写真を晒すといった行為が多く見られます。

一般市民が司法を介さずに、このような行為を行うことを私的制裁と言います。

僕は基本的には、ネット上での私的制裁は法事国家である日本では好ましくない行為だと考えています。

これに関しては、これまでにも何度か取り上げました。

”野々村議員叩き”から垣間みれる”イジメがなくならない理由”  

ネット上の一連の炎上事件について|”晒したり、拡散する者の過剰な正義感の方が異常”

ただ、今回の事件のような残虐性が極まりないケースでは、別の問題として考えなければいけないのかなと思います。

 

 なぜ、ネット私刑が行われるのか

以前は噂話で済んでいたことが、インターネットの発達により、全世界に発信できるようなり、

一市民が一言Twitterでつぶやいただけで社会に大きな影響力を与えれる時代になりました。

社会背景としてはネットの発達の一言で片付きます。

 

では、実際に私刑を行う者の心理についてはどうでしょうか。

大抵(今回の事件ではなく、よりライトな事件に関して)は以下のようなものでしょう。

  • なんとなく面白そうだし、全然関係ないけど、なんか書いとくか。悪いのはこの人だし。
  • なんかむかつく。
  • 拡げたら困るだろうな。クビになったり、退学になったり、そしたらなんて面白いんだ、ざまあ。

匿名掲示板での”祭り”は、面白半分や優越感が多くを占めると思っています。

今回の事件に関しても、以上のような側面は多く存在すると思いますが、

それだけでは片付けられない事情が本件にはあると思います。

 

今回の事件の私的制裁は正義か

今回の事件は、尊い一人の命が極めて残虐な方法で失われました。

コンビニの冷蔵庫で横たわったとか、未成年による飲酒とか 、お金を横領したとか、

それらの事件とは一線を画しています。

ほとんどの人が加害者に関して憎しみや怒りを覚える事件です。

抑えきれない感情が、ネット私刑として形になっているのかもしれません。

ネット上の意見を見ていると、ほとんどの人がこれら私的制裁を「仕方がない」「当然だ」と捉えています。

それに関しては、僕も大きく反対できません。

 

少年法が感情を増幅させた

少年法による規制もこれらの感情を増幅させたと考えられます。

被害者の顔や実名は公開されるにも関わらず、加害者は実名報道されず、

適当に刑が減刑され、その後の人生を何事もなかったように過ごす。

被害者の遺族感情を考えると、これは耐え難いことでしょう。

今回の事件のようなことが起こるたび、少年法への疑問は隠しきれません。

司法が納得いく制裁を行わない。

だからといって私的制裁が許されるわけではありませんが、悪だとは言い切れません。

このようなネットを介しての私的制裁は立法時には想定できていなかったでしょうから、

司法制度が社会制度に追いついていないとも言うことができます。

 

自警の意味も

凶悪少年犯罪者が、実際に刑を受けたとしても、再犯率の高さは馬鹿になりません。

地域の住民からすると、そのような残虐な行為を行った者が何食わぬ顔で暮らしているのは恐怖以外の何物でもありません。

このことを踏まえ、一部は自警のための私的制裁との主張もありました。

 

ここまで書くと、本件の私的制裁は大きく批判ができないというのが正直なところです。

正義か悪か、簡単には論じることはできません。

ただ、やるならそれなりの覚悟と信念を持って行うべきでしょう。

私的制裁は諸刃の剣です。

 

一方で、マスメディアの報道のあり方についても色々と考える必要があるのだろうと思います。

法的な処罰は設けられていないとはいえ、安易に実名報道はすべきではなかったと僕は思います。

 

簡易に私的制裁を行うことができ、それを規制することも現実的に不可能な社会で、秩序を保つには、

司法制度もそうですが、教育の見直しも含め、一人一人が高いリテラシーを持つことが大切になってくると思っています。

 

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