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マジシャンが教える「人前が苦手な内向型人間」のためのプレゼン上達法

人間には大きく分けて二種類の性格があると思っています。

一つは、外向型。誰とでも気兼ねなく話すことができて、人前でおしゃべりするのも得意。コミュニケーションも上手で、明るく活発な印象があります。

もう一つは内向型。大勢で喋るより、一対一がいい。なんなら一人がいい。友人は少ないけど、繋がりは深い。人前に立つと緊張して、声が震えたり、頭が真っ白になる。控えめで大人しい印象があります。

私は、どちらかというと、後者、内向型人間です。

今日はそんな内向型人間が抱える「人前に立って何かを伝える恐怖や不安」を少しでも解消できるシンプルな方法をお話しします。プレゼンやスピーチが苦手という人は参考にしてみてください。

人前恐怖症は「訓練」で上達する。

私の主な仕事はマジシャンです。大勢のお客様の前に囲まれてマジックを披露するお仕事です。最近では大学や高校、企業にて講演をさせて頂く機会も増えました。光栄なことに講演会などではリピートのご依頼も多いです。マジックの出演を除き、講演回数を数えたら67回でした。

でも、私は元来、人前が苦手な「内向型人間」なのです。

えって思いますよね。「マジシャンでしょ?」って。わかります。

そう、今でこそ、特に苦もなく、いや、むしろ楽しんで人前に立つお仕事をメインにしていますが、初めて人前でマジックをしたときのことを思い出すと、緊張で手が震えてまったく話になりませんでした。

私と同じように、世の中には、特に日本には内向型人間の方が多いように思います。少なくとも、人前に立つのが大好きで、緊張しないという人は少数派でしょう。

ただ、社会に出たら人前に立ってプレゼンテーションをしたり、何かを説明したり、伝えたりしなければいけない機会が多かれ少なかれあるはずです。外向型の方にとっては、なんでもない機会ですが、我々内向型人間にとっては憂鬱極まりないものです。

しかし、「人前に立って何かを伝える恐怖や不安」はある程度、訓練によって解消されることを私自身が証明しています。やや恐縮しながらも、あえて言い切ります。

そんな私のような内向型人間の方の不安やためのプレゼンテーション上達法をお話します。これは私が実際に今でも行なっていることでもありますし、中学校で通年でマジックを指導している中で、最も効果があった方法でもあります。

 

台本を書く

さて、もったいぶらずに言ってしまうと、それは「台本を書くこと」です。

それだけです。ちょっと拍子抜けさせてしまったかもしれません。マジックとか全然関係なくてすみません。

しかし、私が思うに「人前に立つのが苦手だ」という人に限って、この作業をおろそかにしています。つまるところ、準備不足です。あなたはどれだけの時間を準備に費やしているでしょうか。

断言しますが、台本を書くだけで、飛躍的にあなたのプレゼンテーションは上達します。不安や恐怖も解消されます。

一つ一つ、具体的に説明していきましょう。

 

大枠をつくる

あんまり難しく考える必要はありません。伝えたいことの項目を並べるだけです。60分から90分の講演の場合、ある程度話す順番を考えないと、伝わるものも伝わらなくなってしまいますので、目次を作るというイメージです。

  1. オープニング(掴み/興味を引き出す)
  2. テーマの提示(主張)
  3. 具体的事例(根拠/ストーリー)
  4. まとめ

大体こんなもんです。ちなみにこのブログ記事も構成は同じです。

もっとしっかり組み立てたいならば、これには鉄板の「型」があります。簡単に言うと、起承転結ってやつですが、こちらを参照してみてください。

参考:物語の王道法則「ヒーローズ・ジャーニー」 から学ぶ小説や脚本の書き方

 

一語一句、書く

ストーリー構成よりも何よりもここが一番大切です。一語一句話すことを書き出します。おしゃべりが上手な方は、喋る内容を箇条書きにメモにしているだけでも十分です。しかし、内向型人間の方は人前にたって、緊張したりすると、頭が真っ白になります。

なので、全部書いておきます。

繰り返しますが、大切なことは、一語一句、実際に話す言葉で書き出すことです。それを読み上げるだけで、最悪、なんとかなるようにしておきます。実際に声に出しながら、作成することが大切です。目安としては1分で300-400語程度です。

この書く作業で構成もある程度仕上がってきます。

こんな時間のかかること、馬鹿馬鹿しいと思いますか?でも本当に効果があります。

まずメンタル面の不安が減ります。不安が減ると、緊張も緩和されます。緊張して頭が真っ白になったら、台本に戻ればいいのですから。

そして伝えたいことを確実に伝えることができます。

以下は僕のある講演会での台本です。台詞等は企業秘密の部分もあるので割愛していますが、こんな調子で書きます。

-司会者からの紹介-

あらためまして、マジシャンの伊藤大輔と申します。 どうぞよろしくお願い致します。

-拍手-

ありがとうございます。

今日は私、マジシャンの話なのですが、そもそも皆さん、マジックを生で、テレビとかではなくご覧になったことがある、という方はどれくらいいらしゃいますか。

-間をとって、会場を見回す-

そうですよね、パラパラといったところでしょうか。 では最初に挨拶代わりに少し、マジックを披露させて頂きます。

-マジック/拍手-

ありがとうございます。

では今日のメインテーマに移りましょう。
簡単に改めて、自己紹介だけさせて頂きます。

私の名前は…

-スライド①表示-

こんな感じです。実際に会場の反応も予測しながら書きます。もちろん、プレゼンテーションはナマモノなのですから、予測したリアクション通りには進まないかもしれません。

大丈夫、それでも台本通りに進めればいいのです。少なくとも、次に何を話せばいいのか分からなくなったり、詰まったりする、我々が思う恐怖のパターンは回避できます。なんなら、予測されるいくつかのリアクションパターンに対してのセリフも用意しておきます。

 

練習、練習、練習

5回から10回ほど、通して練習します。なるべく本番と同じような環境で行いましょう。机や講演台はあるのか、マイクはスタンドマイクか、ピンマイクか。なるべく本番を疑似体験するように心がけましょう。

不安や緊張は、分からない恐怖から生まれるからです。わからないことはなるべく減らしましょう。

練習は時間配分を考える意味でも大切です。本当にはじめてなら、録音しましょう。

特に冒頭の挨拶に関しては、口が慣れるまで、何十回も練習します。ここがリズムを作るからです。

余裕があれば、台本に「間」をつくるポイントや、声の抑揚も書いておきましょう。10分15分のプレゼンなら、丸暗記できます。60分から90分の講演であれば、手元にパソコンや印刷したものを置いておけばよいでしょう。

 

当日

少し早く会場入りさせてもらい、実際に壇上に立ってみます。これは必ず行うことをおすすめします。可能なら、冒頭のリハーサルを行いましょう。実際の現場に立っておくことで本番を疑似体験できるので、緊張がほぐれます。

 

ざっと説明しましたが、大体、10日くらい前から準備にとりかかればなんとかなります。プレゼンは準備が9割だと、私は思っています。

プロとして講演を行うのであれば不十分ですが、何かのスピーチやちょっとしたプレゼンテーションであればこれで十分です。アドリブや空気によって話す内容を変えるなんていうのは高度な技術です。

ここまでみっちり準備したという自信にも繋がります。そして、上手くいきます。上手くいくと、次の自信になります。上手くいかなくても、何がダメだったのか、台本を見直すことができます。

不思議なことに何度かこの作業を繰り返すと、台本無しでも喋れるようになります。伝えることの楽しさも感じることができるでしょう。

台本を書く。最初は骨が折れる作業であることは間違いありませんが、効果は保証します。ぜひ楽しみながら試してみてください。