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大阪の下町で歴史を刻む絶品洋食屋|味の洋食「ニューとん助」
大阪の下町、住之江区。
どこか懐かしい香りのするこの小さな町に、通も唸る洋食屋がある。
最寄りは大阪市営地下鉄北加賀屋駅。
近年、この辺りは市が積極的にアートで町おこし施策していて、イベント時には人の波ができるが、普段はゆったりした時間の流れる静かな住宅街だ。
駅から徒歩5分ほど歩くと、その店がある。
味の洋食「ニューとん助」。
もう50年以上も大阪の下町グルメを支える老舗中の老舗だ。
暖簾をくぐると驚くのが、ガラリとした街並みとは裏腹に多くの「とん助ファン」が列をなしていることだ。
現在、ランチ時間のみの営業(10:57~13:58)。
日によっては開店前から待ち列ができている。中には遠方から訪れる人もいるそうだ。
客層はバラバラで僕のような若者もいれば、建設現場の方やご婦人の方々まで幅広い層に愛されているみたいだ。
何を隠そう、 僕も何度か足を運んでいる一人だ。
ちなみにこの半端な営業時間は何を意図しているかはまだ掴みきれていない。
実はこのお店は最近リニューアルしたばかり。一度は閉店したものの、多くのファンが再開店を熱望し、リニューアルに至ったそうだ。
カウンターだけのシンプルな内装と、ピカピカに磨かれた調理場、野球のテレビ生中継。そしていかにもな店主と女性の方(おそらく奥さん)。
それに加え、見慣れない二人の姿。僕が以前訪れた際は店主と二人で切り盛りされていた。今後、店を受け継ぐ方なのだろうか。
小綺麗になったものの、リューアル前と変わらない店内の雰囲気に何故だかホッとしてしまった。
メニューはとんかつ、ハンバーグ、ヒレテキ、ビフテキ、エビフライなど、「これぞ洋食」というラインナップ。
僕のおすすめはとんかつ(800円)だ。もちろん、どれを選んでもハズレはない。
特徴的なのは、圧倒的なボリュームとガーリックの香りを前面に押し出した50年以上受け継がれるソース。
それに加え、絶妙にジューシーで柔らかいお肉。
これを食べてしまったら、他のとんかつにパンチ力の無さを感じてしまう。
もう一つ、ぜひ注文して頂きたいのがポタージュスープ(300円)。
たかがスープだと侮らないで欲しい。
作り置きのスープではなく、注文ごとに店主が自ら調理するのは、これまたガーリックを前面に押し出した唯一無二のスープ。
シンプルさを感じる味だが、強い味の中にも何やら繊細な味も秘めていて、再現できる気はしない。
調理している様子を見ていると、ほとんど目分量だが、味にブレはない。
ライスは別で小中大とある。食が細い人は小がおすすめ。
結構なパンチがあるので、体調は万全にして望みたい。
ランチにしてはやや割高に感じるが、その価値は十分にある。
注意点がいくつか。
その後、もしくは次の日に大切な人と会う用がある人は覚悟しないといけない。
少なくても半日はガーリックの香りを振りまくことになる。
それに伴って、にんにくが苦手な人には圧倒的に向いていない。
そして、中学生以下の子供は入店できない。
もう一つ、これは噂だが、巨人の話をするとその日の店主の気分によっては追い出されるらしい。
念のため、野球の話はやめておいたほうがよさそうだ。
大阪の下町で変わらない味を提供し続ける洋食屋。
近くを通りかかった際はぜひ、立ち寄って頂きたい。
定休日:日曜日・水曜日
営業時間:10:57~13:58
住所:大阪府大阪市住之江区中加賀屋3-1-22(最寄り駅:大阪市営地下鉄四つ橋線北加賀屋駅)