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関西人が使う結び言葉「知らんけど」の繊細な意味/用法について
関西には「知らんけど。」という万能結び言葉があります。
先日、関東の友人とも話題になりましたが、幼少の頃に関東から関西に移り住んだ私にとって、この「知らんけど。」は大変ショッキングなワードでした。
万能結び言葉「知らんけど。」は、このような形で用いられます。
えええー!知らないの!?
知らないのに、なんで喋ったの!?
なんなの!?
そう、この言葉のニュアンスを知らないで受け取ると、多くの関西人以外の人はこのように混乱します。
ということで今日は、この魔法の言葉「知らんけど。」について、関西人の私が私なりに考察します。
関西に移り住む予定の方は、押さえておきましょう。
「知らんけど。」に内包された意味
「知らんけど。」にはいくつかの意味が含まれており、そのシーンによって、ニュアンスや用法、効果が異なります。
関西人との実際の会話を分析してみましたが、ざっくりと以下のような意味合いが込められています。知らんけど。
- 「情報が曖昧であることの伝達」
- 「責任回避」
- 「興味の度合いの提示」
- 「相手へのフォロー」
- 「あくまで私的な意見であることの伝達」
- 「オチへの免罪符」
それでは、実際の会話例を通して、解説していきます。
例① メイン用法
日常では、こちらの用法が最も多く用いられます。
こちらの例では、「はっきりとした確証、論拠はない」「そのことに大して興味はないが、一応知っているから、教えてあげる」「自分で調べることを推奨する」という意味が含まれています。
「提案」と「責任回避」を同時に行なっているのですね。しかし、この言葉に悪意はありません。ある意味、優しさを込めた言葉なのです。
なので「知らないなら話さないでよ!」と当たり前に抱く感想を述べると、関西人はとても困ります。
例② 私的な意見であることの伝達
こちらの例では、少しだけニュアンスが異なります。
この場合は「私的な意見であることの伝達」、つまり「今、あなたの話を聞いた限りでは、私はこう思う」という意味になります。
やや「責任回避」の意味合いも込められています。
訳すると、
となります。
突き放した言葉のように聞こえますが、こちらにも基本的には悪意はありません。推論し、意見を述べているにすぎません。
シチュエーションによっては、「相手へのフォロー」の意味合いも込められており、こうも訳すことができます。
また語尾に「知らんけど。」をダブルで用いられることが稀にあります。この場合は意味合いが2倍になったと考えてください。
訳としては 、
となります。
用法③「オチへの免罪符」
これはやや難易度が高い用法です。
関西人は笑いに厳しく、会話に「オチ」を要求します。
しかし、時々オチをつけようとしすぎて、話を若干盛るときがあります。その際の免罪符として「知らんけど。」を用います。
さらに難易度が高い用法としては、「適当に喋っているのが面白いでしょう?」という、「知らんけど。」自体をオチに用いる用法もあります。
ツッコミは「知らんのかい!」で大丈夫です。ドッカーンです。
いかがでしたか。
「知らんけど。」にはこのように、非常に繊細な意味が込められています。ちなみに関西人は、「知らんけど。」をこのような意味、用法をいちいち意識しては使っていません。無意識に使いこなせるレベルになっています。
また、魔法の言葉でもある「知らんけど。」も、乱用すれば嫌われます。口癖になっている人もいますが、ネガティブな表現で使用すれば関西人であろうがなかろうが、良い印象を持たれません。なので私はあまり使いません。
また、このワードはあくまでカジュアルなシーンで用います。
などとビジネスシーンで用いると、トチ狂っていると思われます。
関西人としては、この表現は関西特有なものだと意識せねばならないと思います。こちらとしては悪意はなくても「知らないのに、喋るんじゃねえよ!無責任かよ!」と普通にとられる可能性が高いので、注意が必要です。
関西に訪れる、他都道府県の方はぜひ参考にしてください。
知らんけどね。
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