マジックの話, 思うこと, ビジネス

マジシャンの年収について

Twitterでマジシャンの年収について簡単なアンケート調査を行いました。

Twitterのアンケート機能なので正直、100%信用できるものではないと思いますが、100人以上の方から回答をいただけたので、参考にはできるかと思います。

ただ、兼業もOKとしたので、パフォーマンスだけで稼いでる月収となるともう少し下がりそうです。

この記事ではアンケートの分析、各月収レンジの傾向と対策を私なりに述べてみようと思います。

 

0-25万円レンジ

0-25万円、つまり年収でいうと〜300万が7割を占めています。感覚的には150-250万のレンジが多いと思います。

マジシャンの半数程度の働き方としては「マジックバーに勤めながら、土日は営業にいく」というスタイルが多いように思います。

マジックバーの多くは時給ですので、時給1000円×6時間程度を週4日で、約10万円程度。これに土日の営業案件の報酬額が加わります。

感覚的には営業案件をコンスタントに獲得できる方は少ないです。月に2-3回程度かなと思います。

なんとなく、このレンジの相場は1案件3万円-5万円だと思います。月に6-15万円。マジックバーのお給料と合わせて、これで16-25万円なので、大方、外れていないかなと思います。

このレンジが約70%で、一番多いということです。感覚的にはもっと多く、80%がこの層だと思います。

このレンジだと、生活が安定しているとは言えません。ただ、学生マジシャンとして活動している方も入りますし、Twitterの性質上、回答者は若いことも多く、マジシャンとして活動して2-3年であれば下積みとして、仕方ない部分もあると思います。

 

25-50万

年収でいうと、300-600万円。単価が5-10万円で、営業案件を月5回程度で25-50万円です。とはいえ、営業案件は安定しないので、マジックバーに勤めている方もいると思います。

また、一部のマジックバーでは割とコミットすれば、月収で25-30万程度の給料を頂ける場所もありますので、その層も入ると思います。

このレンジが約10%。このレンジまで収入を上げれれば、目先の生活は安定します。しかし、将来のことを考えると、不安は残ると思います。

 

50-100万円

年収でいうと、600-1000万円です。このレンジではマジックバーに勤めず、フリーのマジシャンとして活動する方も多いです。単価は、10万円-30万円のレンジだと思います。これで毎月5-10回の営業案件を獲得すれば、50万-100万円です。

世間一般で富裕層というわけではないですが、余裕はあるはずです。ただ、このレンジは3%ととても少ないです。

 

100万円以上

高単価で週末が営業案件でビッチリ埋まっているという人は、すんなり月収100万円を越えます。月収200万程度までは「テレビに出てる超売れっ子!」でなくても、頑張れば狙える範囲だと思います。このレンジだと単価も天井がありません。年収も1000万、2000万となっていきます。

また、マジックバーの経営をされている方や、何かのプロデュースや監修案件を兼業してされている方もこのレンジにいると思います。

この層が10%。うーん…50-100万の層が3%だとしたら、感覚的には、実態は5%程度だと思います(結果の知りたさに関係ない人が冷やかし程度に押したくなるのがこのボタンだと思います…笑)。

さて、各レンジごとの雑な分析はこんな感じです。

 

対策とまとめと所感

大方、予想通りといったところです。ざっくり70-80%のプロマジシャンは「生きていくのにやっと」という収入レベルです。

マジシャンとして独立するなら、50-100万円は目指したいところだと思います。

マジックバーの従業員は、あくまで臨時的な生活手段と考えるべきです。店長クラスは別として、時給で働くマジックバーの収入だけに依存するのは「マジシャンという名のフリーター」です。

対策としては、0-25万のレンジの人はとにかく「営業案件を増やすこと」が合理的な戦略になると思います。固定収益(マジックバー)の収入の上昇は見込めないので、スポット収益の単価とボリュームを増やすしかありません。

25-50万の人も結局、営業案件をどれだけコンスタントに獲得できるか、単価をあげれるかが、収入アップの鍵になると思います。そのための戦略をまとめているのでこちらを参照してください。

リンク:マジシャンのためのお金の稼ぎ方

(少し雑なので、近々リライトします。)

お金の話ばかりしてヤラシイですが、マジシャンとして独立するということは、商売をするということです。言ってしまえば、マジシャンは個人事業主であり、経営者です。マジックの技術を高めるだけではなく、商売の技術も高めなければいけないと私は思います。生活するにはお金が必要だからです。

もちろん、技術は前提として大切です。ただ、私は国内外のコンテストで表彰されたマジシャンが喰っていけない実情を知っています。だから、それだけではダメだと私は思っています。

「いや、マジシャンはお金なんて大切にしたらダメ!技術を高めればお金は後からついてくる!」という人もいると思いますので、それはそれでいいと思います。色んな考え方があります。

 

一方で100万円以上稼げている方も、有頂天になるべきではないと思います。マジシャンの稼ぎにはピークがあるからです。おそらく、40歳-50歳をピークにゆるやかに収入は減少していくと思います。普通に考えて、収入がずっと右肩上がり、安定するというのはビジネスモデル的に厳しいです。

要は「普通の人が一生で稼ぐ分を40歳までに稼ぎ切る」という職業なので、セカンドキャリアに備えて、無駄に贅沢することは控え、資金を蓄えておくべきだと思います。別軸の事業に投資することを考えてもよいかもしれません。我々には福利厚生も退職金もないので。

 

最後に、そのような事情を考えても、10-20人に1人は一般的には高所得者なので、夢のある職業だと言うことはできます。10-20人に1人が年収1000万ってなかなか期待値の高い職業です。

一方で「マジシャンの大半は経済的に不安定だ」と言わざるをえないと思います。格差がハッキリしているということもできます。

それを踏まえて、この市場に生きる人は一致団結して、業界外に向けて、市場を拡大するアクションをとる必要があると思います。それが、それぞれの収入のレンジを底上げをすることに繋がるからです。

小さな市場で、古い慣習も残っているので、新しい動きはやはり反発が大きく、一筋縄ではいきません。それでも、誰かが旗をあげなければ、市場は変わりません。もちろん、それは損得や、ビジネス的な側面も含むと思いますが、私はそういう人が必要だと思います。

生意気ながら、私もある意味ではこの素晴らしい文化への恩返しとして、機会を伺って、何かしら貢献したいと考えている所存です。そんなところでした。

 

PS. Twitterでは何度か紹介していますが、マジシャンを目指す方はこちらの本は必見の名著だと思います。学生時代読んで、影響を受けています。私なんかが紹介するのもおこがましいですが、一読の価値があると思います。