BLOG, マジックの話
学校教育に「マジックの授業」を
2015年度4月より、私立「大阪国際大和田中学・高等学校」において、
「マジックの授業」を通年で担当させていただくことになりました。
マジックの授業です。科目的には、総合学習で選択制の授業となります。
少し予想はしていましたが、すでに希望者殺到とのことで、嬉しい限りです。
一方で、期待を裏切らないようにというプレッシャーも感じています笑。
教育の現場に立つというのは大変な責任が伴います。
いつも以上に気を引き締めて、楽しむところは楽しんで挑みたいと思います。
おそらく、日本初の試みでしょう。
僕自身にとっても、一つの新しい挑戦です。
「マジックと教育は相性が良い」というのは予てから思っていたところでした。
参考:子どもにマジックを習わせたら頭がよくなる? (2012年に書いた記事)
この授業の目的は、もちろん「マジックを教える事」ですが、ただ単に「種明かしをしてお終い」ということは考えていません。
簡潔に言うと、「表現する力を養う」というのが学校側、そして僕の狙いです。
昨今の教育現場においても、就職活動の現場においても「コミュニケーション能力」が重要視されているのは言うまでもありませんが、マジックはそういった表現力、コミュニケーション能力を養う可能性を十分に秘めていると僕は思っています。
僕が専門としている「クロースアップマジック」、つまりテーブルマジックは、観客との距離が非常に近いのが特徴です。
それだけ、高い技術も要されるのですが、それ以上に観客とのコミュニケーションが大切になってきます。
いくら素晴らしいマジックを披露しても、適切なコミュニケーションがとれていないと観客の心をつかむことはできません。
自分の言葉で、人前でマジックを披露する。
マジックを一種のプレゼンテーションとして捉えると、良い教育機会になると思います。
マジシャンとして培ったコミュニケーションのノウハウも伝えることができればと思っています。
なにより、マジックは楽しい。大人も子どもも楽しめるエンターテイメントですから。
もちろん、偉そうなことを言っていますが、僕自身もまだまだ未熟なマジシャンです。
子どもたちと一緒に成長していきたいと思っています。
少しだけ僕の話をすると、実は小さいころの僕は人前が苦手で、どちらかというとおとなしい子どもでした。
なぜだか小さい時からマジックが好きだった僕は、一人で練習したマジックを、一人で家で鏡の前でやって、一人でニヤニヤしているちょっと変わった少年でした。
(この辺りは、今も大して変わりませんが笑)
でもある時、学校でみんなの前で、思い切ってマジックを披露したことがあります。
はじめて人前に立ち、自分の言葉で、何かを表現した瞬間でした。
これは自分の中ではちょっとした「事件」です。
教室の隅っこで喝采を受けた僕は、マジックの力を借りて、ちょっとした自信を付けたような気がします。
足の速い子が、運動会で誇らしげな顔をしていたように。
もしかすると、これは「卑怯」だったのかもしれません。マジックはその人を何倍も大きく見せてしまいます。
ですが、その「事件」をきっかけに、引っ込み思案で友達もいなかった僕にも数人の仲の良い友達ができました。
マジックは自分を表現するきっかけを作ってくれました。
そう、コミュニケーションの場において、マジックはあくまで、
その人の魅力や個性を引き出す「きっかけ」に過ぎないと僕は思っています。
そんな「きっかけ」があって、今ではどういうわけか、仕事としてマジックを大勢の方に楽しんで頂いています。
最初は手も震えてどうしようもなかったのを覚えています…笑。
失敗と小さな成功を繰り返し、今も、小さな自信を積み重ねています。
何にせよ、マジックは、僕を変えてくれた大きな存在です。
マジックに触れた子どもたちが、何か自分を表現する小さなきっかけを作ってくれたら…
一つでも二つでも、心に残るものを伝えることができれば…
そんな気持ちで挑みたいと思います。
追記/2016年4月
講座を担当して、1年が過ぎ、嬉しいことにご好評を頂き、2年目も同じく担当させて頂くことになりました。
より良い授業を提供できるよう努めていきます。
この取り組みを始めてから、ワークショップやスポットでのマジックの授業のお問い合わせを多数頂いております。
ご相談やご依頼などは下記フォームより、ご気軽にお問い合わせください。