マジックの話
「タネも仕掛けもありません」というセリフがダメな理由。
マジックを始めたての頃、ある方からとても有効なアドバイスを頂きました。それは「嘘を極力なくす」ということ。
例えば、「タネも仕掛けもありません」とタネも仕掛けもあるハンカチを出すのはやめなさいということです。
「タネも仕掛けもない」ならば、「タネもしかけもない」ということを言う必要がなく、そもそもそんなことを思いもしないのです。さらに、ハンカチというのは本来タネも仕掛けもないものです。「タネも仕掛けもありません」ということで、観客に「タネも仕掛けもあるのではないか?」という考えを持たせてしまう恐れがあります。
そして、人は、人に観られながら嘘をつくと、観ている人に何かしらの違和感を感じさせます。マジックを始めて間もない頃は、人前でマジックをすると手の震えが止まりませんでした。緊張してたというのももちろんありますが、マジックを演じる上での「嘘」に体がついていかなかったのかもしれません。
マジックには「オモテ」と「ウラ」が存在します。このアドバイスは演者の負担を減らすためにも、「オモテ」と「ウラ」のギャップをできる限り無くしなさいというアドバイスだったんですね。
僕はこのアドバイス、実生活でも活かしていきたいと思っています。人間には必ず「オモテ」と「ウラ」があります。社会生活を円滑に送るためには必要不可欠なものかもしれません。しかし、マジックと同じでウラとオモテで全然違うことを行っている場合、周囲の人に何らかの違和感を感じさせます。それはマイナスに働くことはあっても、プラスに働くことはないですよね。
「オモテ」と「ウラ」のギャップを無くす。
マジックでも、実生活でも大切にしていきたいものです。