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感想|映画「グレイテスト・ショーマン」が描く、新しい価値の広め方とは

公式HP「グレイテスト・ショーマン

話題沸騰中の映画「グレイテスト・ショーマン」を観ました。別に評価する立場にもないのですが、評判通り、とても素晴らしい作品でした。もう柄にもなく号泣でした。マジシャンを含め、何かしらパフォーマンスする仕事につく方は共感する部分もあるのではないでしょうか。

ストーリーとしては“地上でもっとも偉大なショーマン”と呼ばれた19世紀に実在したアメリカの興行師P・T・バーナムの半生を描いたミュージカル映画です。私は彼の自伝的なものも目を通したことがあるので、より入り込めまました。

職業柄、ショービジネスの成功という視点でも眺めてしまいました。嬉々と感想を述べていたら「君の視点はちょっとおかしい」と言われたので、どんなものかとシェアしておこうと思います。

(ややネタバレ注意ですが、そこまでストーリーには触れていません。)

批判覚悟で新しい価値観を提案する

舞台は19世紀のアメリカ。興行師P・T・バーナムは、度重なる挑戦と失敗を繰り返していました。そこで思いついたのは、個性の強いメンバーを集めたショーでした。

それは全く新しい価値観の提案でした。ショーは大ヒット。やはり、世を圧巻するにはこれくらいのインパクトが必要なのだと思いました。

劇中ではそこまで描かれていませんが、自伝等ではもっとダーティな部分も描かれています。良くも悪くも、常識という概念のネジが外れた人物だったのでしょう。

それゆえ、型破りな内容に批判の声も多く、特に富裕層からは社会的に認められることはありませんでした。

型を破るには違う視点のパートナーが必要

そこでバーナムは、同じく興行師フィリップに協力を求めます。フィリップはオペラ等、富裕層にも認められる興行で成功を収めていました。バーナムは自分にはない視点が欲しいとフィリップを口説き落とします。そして、フィリップはバーナムのショーに引き込まれていきます。なるほど、素晴らしいと思いました。

Appleの創始者スティーブ・ジョブズが優れたマーケティング役員を探し、当時のペプシコーラの事業担当社長を口説き落とした話にも重なるように思えました。口説き文句は有名なあれです。「このまま一生砂糖水を売り続けたいのか、それとも私と一緒に世界を変えたいのか?」

話は逸れましたが、どれだけ優れた経営者でも一人でコトを進めると、視野が狭まってしまいます。そこで、違う視点の優秀なパートナーが必要なのです。これは私自身も実感しています。バーナムにとっては、それはフィリップでした。

社会認知を高めるにはアッパー層から

新しいものには批判はつきものです。バーナムのショーは、それほどセンセーショナルなものでした。それまでの新しい価値観を破壊し、社会的な認知を高めるにはアッパー層を捉える必要があります。相棒のフィリップはそれをよく理解していていました。「社会に認められるにはアッパー層からだ」というセリフは印象に残っています。

フィリップはつてを辿り、なんとエリザベス女王に謁見する機会を得ます。そこでまた大きな機会を得るのですが…。良くも悪くも、フィリップの働きにより、バーナムは機会をえることができました。劇中では描かれていませんが、エリザベス女王との謁見は、大変インパクトの強い出来事であったと想像できます。

いつの時代も、新しいものごとを大衆にリーチさせるには、アッパー層の協力があれば話が早いものです。これは現代的にいうと、インフルエンサーマーケティングです。バーナムやフィリップは優れた興行師であるとともに、優れたマーケッターでもあったのですね。大衆の視線を集めることに長けていました。PRやマーケティングの基本は、いつの時代も変わらないのだなと思いました。

ということで、これは結構、斜めから見た視点です。ストーリーはもちろん、演技や映像、楽曲もめちゃくちゃ素晴らしいものでした。DVD即買いです。とてもおすすめの映画ですので、難しいことは考えずに映画館でみることをおすすめします。できればIMAXで!

バーナム氏の成功法則をまとめた本。「Kindle Unlimited(リンク)」で無料で読めます。