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どうしてマジシャンのトリックは見破れないのか

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当然ながら、マジシャンはトリックを使い、奇跡を演出しています。

変わった力を持っているわけではありません。

マジックをしているとお客様に聞かれることがあります。

「どうしてこんなに目の前なのに、タネがわからないんだ…?」

目の前で注意深く見てても分からないクロースアップマジック。

どうしてマジシャンのトリックは見破ることができないのでしょう。

今日は、そんなマジシャンの秘密を少しだけ明かしてみたいと思います。

目にも止まらぬ早業?

「きっと、目にも止まらぬ早業なんだ!」と、マジックを見て頂いた方に言われることがあります。

星の数ほどあるマジックの中で、”目にも止まらぬ早業”を使うマジックもあるにはありますが、 多くはそうではありません。

人の目は、自分が思っているより、精巧にできています。 目の前で、何かが素早く動いたら、それが本当に目にも映らない速度でない限り、 人の目は察知してしまいます。

マジシャンは早業を使い、マジックを成立さしているわけではないんです。

 

頭が良い人ほど、分からない?

どこかで聞いたフレーズで「マジックは頭がいい人ほど分からない」というものがあります。

それはある意味正しいことかもしれません。

マジシャンは、お客様の普通に生きていたら培われる論理的な思考を利用します。

そこに握ったはずのボールが消える。

普通に考えたら、ボールはそこに握ったままなのです。

マジシャンはこの「普通に考えたら」を利用します。

普通の顔つき、普通の筋肉の硬直、普通の喋り方…。

マジシャンはその普通に見える動作の裏でいくつもの秘密の動作を行います。

秘密の動作をできるかぎり「普通に」近づけ、それが普通であると思わせる。

お客様からみたらなんてことない動作の1つ1つに、意味があるのです。

 

親しい人にはマジックがばれる?

これに関連して、1つ面白い話があります。

マジックを始めて間もない頃、新しいトリックができたら、家族に見てもらっていました。

友人に見せても不思議だ!と驚いてもらえるトリックでも、 家族に見せたら「あ、今のわかった!」って言われることが多々あったのです。

なぜでしょうか。

それは、できるかぎり普通に見せている思っている秘密の動作でも、長年「素の僕」を見ている家族にとってはどこか不自然に感じてしまうのです。

つまり秘密の動作が普通の動作に見えないのです。

どこかノイズのある動作に必要以上に注目され、タネがばれてしまう。

これは、マジシャンであれば一度は経験があることです。

 

いかがでしたか。

マジシャンの秘密の大切な要素の1つ、それは「いかに自然にみせるか」ということなんです。

と、まあ偉そうに書きましたが、大勢のお客様にマジックを見せていたら、ほんとに稀に、鋭い洞察力の持ち主の方にマジックのタネの推測を許してしまうこともあります。

マジシャンはそれに多くの場合、自分でも気づきます。

「あ、この人、何か異変を感じたな」って。

そのときは、ウインクをして黙っててもらうのも、大切な秘密の1つです…笑

 

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