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どうして”高いもの”から売れていく?|日常に潜む購買行動の心理的引き金
「洋服は定価が高いものから売れていく」。
ある百貨店にお勤めの方から聞いたことがあります。
洋服以外にも、例えば、お節料理、演劇のチケット、塾やセミナー…、高いものから売れていく商品やサービスが結構、思い当たります。
「高いものから売れていく」。
その購買行動の裏側にあるトリガー(心理的な引き金)とは何なのでしょうか。
結論から言うと、多くの場合、人は「高いもの=良いもの」という風に短絡的に考えてしまうのです。
例えば、僕はその洋服が何で作られているのか、おせち料理にどれほどの素材が使われているのか、それらの原価がいくらかなんて知りません。
そんな知識があるのは、その業界に勤めている人か、一部のマニアでしょう。
では、僕たちは洋服や、お節料理を購入するときに、何を基準に「良いもの」を見分けるのでしょうか。
そうです。「価格」くらいしか参考にするものがないのです。
モノの価値は、価格に比例する、つまり「高いもの=良いもの」と常識的に考えてしまいます。
一種の固定観念(ステレオタイプ)ですね。
「良い洋服が欲しい」「良いお節が食べたい」。
そう思った人は、普通に考えたら「ちょっと高いかな」って思うものも、「高いもの=良いもの」の頭の中の公式に当てはめ、これは買う価値があるものだと信じ込んでしまうのです。
このトリガーを利用して売り上げを伸ばした例として有名なのは、スコッチウイスキーの「シーバスリーガル」です。競合商品よりかなり高めの値段を設定したところ、ほとんど中身には違いがなにのに、売り上げ成績は飛躍的に上がりました。
もっと身近な例であげると化粧品もそのような例が結構あります。中身はほとんど変わらないのに、パッケージと価格をかえるだけで売り上げ成績が上下するのです。
洋服のセールの時にも、このトリガーは至る所に散りばめられています。わざわざ前の値札を赤線で「見えるように消して」、安くなった値段を書いていたりしますよね。意図的でなくても、「高いもの=良いもの」の購買意欲のスイッチを押します。
このような心理的な引き金に判断を振り回されるのは、別に悪いことだとは思いません。
日常において何かを判断するとき、経験則や社会常識を判断材料にする方が多くの場合は効率的だからです。
おせちを買う度に、使われている素材や製法を調べるようでは、日常生活が成り立ちませんからね。
「高いもの=良いもの」のような私たちが使う判断法は「判断のヒューリスティック」なんて呼ばれていますが、このような原則は多数存在します。
問題なのは、このような心理的トリガーの存在を多くの消費者が知らないということだと思います。
これらが頭の片隅にもない人は、販売者に対して非常に弱い立場になってしまいます。
ちょっとひどいいい方をすると、意図的に購買意欲をコントロールされやすい存在になってしまいます。
様々な情報が行き交う現代社会で、全ての情報の価値を正確に判断することは不可能です。けれども、このような心理学の知識があれば、自分にとって重要な場面で大きな誤りを犯すことを防ぐことはできるかもしれません。知っておいて損はないと僕は思っています。
当ブログでも、自分の勉強のアウトプットという意味も込めて、色々な知識を紹介していきたいと思っているので、是非チェックしてくださいね。
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