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「好きなことで、生きていく」の考え方と落とし穴
最近、本屋さんなどに行くと、新しい働き方、好きなことを仕事にするといった言葉がよく目に入ります。
某企業のCMでは「好きなことして生きていく」なんて言葉が使われていて、なんだか凄い時代だななんて思います。
そんな僕の職業はマジシャンです。
周りの人のおかげで、好きなことを仕事でき、今のところ文明的な生活を維持できています。
周りからもそのように映っているからか、
「会社を辞めて、好きなことを仕事にするにはどうすればいいの?」
といったことを身近な友人に相談されることもあります。
そんな中で思うこともあり、こんな若造の僕が言うのもアレなのですが、
好きなことを仕事にするってどういうことなのか。簡単なことなのか。
その辺りについて、思うことを纏めてみます。
目次
- 働き方は変化している
- 好きなことを仕事にするのは簡単?
- 「好き」を仕事にするための3つの要点
- 意外な落とし穴
- ミクロに生きるコツ
一昔前から考えると、働き方は多様化しているように思えます。
高度経済成長期をベースとした、終身雇用、年功序列型のワークスタイルを企業が維持することが難しくなっている。
加えて、インターネット技術の多方面の発達、人々の趣向のの多様化により、小さな個人でも、工夫次第で仕事を見出しやすくなったことが理由だと考えています。一時期、話題になったノマドワーカーなんて言葉も、今の時代の産物です。
そうした世の中の流れを見ると、個人でミクロに生きて行くワークスタイルは時代にマッチしているとも思えます。
まだまだそのような働き方はマイノリティですが、今後、さらに働き方は多様化していくと考えています。
この辺りの本が面白かったです。
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「好きなことを仕事にしよう」という人の言葉を聞いたり、本を読んだりすると、実に簡単なことのように思えてしまいます。
しかし、本当にそうでしょうか。
今も昔も、レールから外れて生きていくには、それなりのスキルや知恵が必要です。
なんであれ、0から1を作るのは大変難しいこと。
好きなことを仕事にしようと思ったとき、まず頭に置くべきことは、一般的には「趣味」を仕事にして、商売を成り立たせるのは、どこかに勤めて労働収入を得るよりも難しいという視点です。
また、批判や孤独、疎外感にも耐える必要もあります。
自分の人生がどう思われているかとか、そのような他人軸の人生を捨てる勇気が必要です。
身も心も、一般的な人生のレールから飛び出すには、当たり前ですが、覚悟は必要です。
「”会社が嫌だから”好きなことでもする!」と覚悟もなしに何も考えずに飛び出すと、何も考えていないものですから、周りと比べて不安になり、うまい話に耳を傾け、怪しいビジネスのカモになったりします。
では、どのように考えていけばよいのでしょうか。
それがなんであれ、工夫次第で、仕事にすることは可能でしょう。
ただし、全ての「好きなこと」が、”それ一本で生活できるほどの仕事”になるとは考えてはいません。
ブレない軸と情熱以外に、以下の3つの要素が必要だと考えています。
- サービスとして成立するスキル
- 適切な市場
- マーケティング力
サービスとして成立するスキルが必要だという点はいうまでもありません。
そして、どれだけスキルが優れていても、適切な市場がないと成立しません。
あなたのスキルで解決できる問題や課題を抱えている人がどれだけいるかということです。
また、世の中には流行があります。
波や風がない海では、航海の難易度は上がります。
追い風が吹いているのか、そうでないのか。
今、乗るべき波があるかというのも市場への考え方の一つだと思っています。
一方で、大手が参入しにくいニッチ市場を突くのも、小さな個人にとっては大切な視点です。
いずれにせよ、適切な市場がないと商売は成り立ちません。
それに加えて、マーケティングの力も必要です。
これは飲食店を観察しているとよくわかるのですが、営業やブランディング等のマーケティングの知識や、そこに費やす予算や意識があるお店の方が、ただ、味にこだわる個人店よりも、結果的に繁盛している現状があります。
スキルは必要ないというのではなく、良いものを良いものとして世の中に発信する力は、多かれ少なかれ必要だということです。
特に今の時代、趣味嗜好が多様化していますから、誰に向けて、どのようにサービスを展開していくのかという意識は大切だと思っています。
ただ、これは必ずしも自分でやる必要はありません。そういう面倒なことを全てやってくれるパートナーを見つけて、良い関係を築くことができれば、自分は情熱を注ぎ込めばよいだけです。ただ、これも依存するリスクを考えると、自分でもある程度は処理できた上で、そのように工夫した方よいかもしれません。
なんにしても、好きな事に情熱をつぎ込むことと、好きなことを仕事にして生きていくことは、また別のお話だと僕は思っています。
もう一つ書くとしたら、運も大切な要素かもしれません。…元も子もないですが笑。
僕は出会いや巡り合わせに恵まれました。
好きなことや趣味を仕事したら、多くの場合、それだけを追い求める日々が続くのではありません。
先に書いた通り、他にもやること、考えることがたくさんあります。
もしかすると、そちらのウエイトの方が高い場合もあります。
そして、好きなことを好きなようにできるとは限りません。
そうなると、ありがちな話ですが、
好きなことが好きでなくなる可能性もあります。
好きでいるために、本当にそれを仕事にすべきかどうか、
意識しておく必要はあるでしょう。
正直な話をすると、僕も今でこそ、好きとか嫌いとかは通り越して、マジックは生活の一部になっていますが、
昔、きつい仕事が何日も続いた時「もうトランプも見たくない!」という状況に陥ったことがあります…笑。
それで辞めるくらいなら、それまでという話でもあるのですけども。
少しネガティブな内容が続きましたが、
それも考え方次第かと思います。
仮に、好きなことだけで生きて行くのが難しいというであれば、
「好きなことは一つでなくてもよい」という考え方もあると思います。
つまりそれ、一本で生きていく必要はないと思っています。
もちろん一番好きなこと、つまり本業へのプライドもあるでしょうが、
現実的なことを考えると、僕は、小さな個人としての生き方を選んだならば、
仕事、つまり収入のポイントは複数あった方がよいとさえ思います。
多くの場合、好きなことはたった1つではないはずです。
僕はマジックは好きですが、文章を書くことも好きです。
このようにブログを書くことは、今では仕事の1つになりました。
どんな小さなスキルや嗜好でも、思ってもいない形で仕事になることがあることを、僕は実感しています。
それだけでは小さな収益しか生み出さなくても、複数の小さな仕事は積み重ねると、
チリも積もれば …ではありませんが、大きな生きる力に繋がります。
先にも書きましたが、小さな個人だからこそ、大手が参入するには市場は小さすぎるニッチ市場を突くという選択肢もとれます。
そのようなニッチ市場を対象にしたビジネスを複数持つという考え方も悪くありません。
また、それは今の時代、適切なリスクヘッジになるとも思っています。
当ブログでも紹介しましたが、「月3万円ビジネス|単職から複 職の時代へ」という本の感想にもこの辺りのことを書きましたので、よければ。
偉大な起業家スティーブジョブズはこんな言葉を残しています。
未来に向かって点と点を結ぶことはできない。過去を振り返った時にのみ、点と点を結ぶことができる。
この場に合わせて勝手に解釈すると、その「小さな仕事達」で培った経験や知識がどこかで生きてくる、本業を飛躍させる要素になる可能性も大いにあると、僕は経験上、そう思っています。
いかがでしたでしょうか。
綺麗事を並べるのは簡単ですから、少しシビアな視点で書いてみました。
どこかでお役に立てれば、幸いです。