ライフハック, 心理学
恋愛相談をした相手を好きになってしまう理由
「恋愛相談している間にその人のことが好きになってしまった」
これは実によく聞く話です。
今日はそんな不可思議な現象を人の心の仕組みから考えてみます。
結論から言うと、恋愛相談をする行為自体にある種の「暗示」の要素を含んでいて、それが作用しています。全てとはいいませんが、多かれ少なかれ。
暗示というのは、相手に特定のイメージを抱かせる言葉や行為のことです。詳しくは後述しますので、ひとまず、ここではそのように理解してください。
「恋愛相談をした相手を好きになってしまう現象」をものすごく簡潔に説明すると、好きな人の話をする、彼氏や彼女の話をするという行為は、「現在好きな人、思いを寄せている人をイメージすること」に繋がります(暗示)。
そのドキドキした感情が相談相手に「投影」されることで、感情が移ってしまうという理屈です。
例えば、彼氏の愚痴なんかを話しているときに、相談相手が「僕だったらそんなヒドイことはしないけどな」なんて言葉を発したり、あるいは、好きな人の話をしているときに「君とこんなデートをすると楽しいだろうな」なんて言葉を発すると(例えばね)、それがある種の引き金になり、相手の頭には相談相手との恋愛関係が浮かびます。
この際に特定の感情、ドキドキした感情を持ったまま、相手との恋愛関係をイメージしてしまった場合、何かの言葉をきっかけに相手に好意が投影され、行為が移るということが理屈的には起こりえます。
え、そんなことあるの?って思っちゃいますけど、「ある」のです。催眠術ショーなどで、特定のモノや人物に好意を抱かせるという場合も、これをもう少しテクニカルにしただけで、理屈は同じです。
吊り橋効果という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、それと似ている側面があります。吊り橋効果とは、危険を共に体験すると連帯感や恋愛感情が生まれやすいという心理的効果のことです。
人の脳は恋にドキドキする感情と、恐怖でドキドキする感情を区別できません。そのためデートでホラー映画なんかを見ると、好意を抱きやすくなるということが起こりえます。
怖さでドキドキしているのに、これは恋だと錯覚してしまうのです。
つまり、第三者へのドキドキなのか、目の前の相談相手へのドキドキなのかを人の頭は区別できないのです。
また、相談相手自身が”あわよくば”相手との関係を望んでいて、かつ積極的にその手のムードを作った場合、より暗示は入りやすくなります。
略奪愛というのは往々にしてこのようにして起こりますから、恋人の恋愛相談には注意が必要です笑。
さらっと暗示という言葉を使ったので、少しだけ詳しく説明します。
度々になりますが、暗示とは相手に特定のイメージを浮かばせること、感情をいただかせる行為、言葉のことです。
また、暗示には直接暗示と間接暗示というものがあります。
ざっくり言うと、テレビなどで催眠術師が「指を鳴らすと犬になります!」と言うと、実際に目の前の人が犬になる…という シーンを見たことがあるかもしれません。これは直接暗示というものです。今回のタイトルのように日常会話において、直接的な言葉を使わずに相手にイメージさせる言葉を投げかけることを間接暗示といいます。
なんとも大げさに聞こえますが、日常でも暗示という存在は至るところに潜んでいます。
例えば、テレビCM。
美味しそうにビールを飲むタレントを見て、ビールが飲みたくなった。
商品が欲しくなった。テーマパークに行きたくなった。
あなたも一度や二度はそんな経験があるかもしれません。
これらはCMによって視覚や聴覚に刺激を受け、あなたの頭の中に特定のイメージを抱かせた。
つまり、暗示に掛かったということになります。
暗示というのはそのレベルの話で、何も催眠術師やメンタリストだけが使う特殊な魔法の言葉ではありません。
いかがでしたか。この手の話に興味がある方はこちらの本もおすすめです。
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