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テレビCMにも使われる催眠誘導技法「ダブルバインド」を甘くみない方がいい
「キンキンに冷やしてからお飲みください」
あなたはこの広告コピーに隠されている心理誘導に気づきましたか?
実は上の広告コピーにはダブルバインドという心理誘導が隠されています。
もしかすると言葉くらいはご存知の方もいるかもしれません。
ダブルバインドの基本の形は、あなたが望む事実を既成事実として話をして、二者択一の質問を行うことです。
※ここでの「ダブルバインド」とはミルトンエリクソンが催眠療法にために発展させた催眠誘導技法です。元々のダブルバインドはグレゴリーベイトソンの理論で…みたいな、とっても難しい話になるので日常レベルで利用できる誘導技法という意味で使います。
「最近、良い店を見つけてさ。イタリアンかフレンチどっちが好き?」
「んー…イタリアンかな?」
「結構人気の店だからさ、今週か来週の土日、予約しとくね。どっちがいい?」
この例には、二つのダブルバインドが含まれています。
まず、最初の質問。相手の無意識は「食事に行くか、行かないか」ではなく、どっちが好きかを考えます。そして、相手は何となく食事のシーンをイメージします。
二つ目、食事に行くことを前提に、今週か来週かの質問をしています。
この相手が「何となく」イメージしたことは、無意識(潜在意識)に強烈に働きかけるので「食事に行く」ことを許容しやすくなる。
これがダブルバインドです。”どちらを答えてもNOにならない”とかそんな単純な文法的な理屈ではないのです。
実際、エリクソンはこのように使っていました。
「ゆっくりと催眠に入りますか?それともあなたのペースで入りますか?」
想定させたい事柄(催眠に入る)を前提として話をして、二者択一の質問をしていますね。
でも、上のデートの例は少々直接的です。
強調しておくと、「何となく」だから効くのです。日常レベルでは、悟られるようじゃ使い物になりません。
着地点は相手の無意識に働きかけることです。少し複雑にして、見えにくくしてみましょう。
「そういえば、まだ◯◯さんとゆっくり喋ったことなかったよね。」
相手の無意識は何を想定するでしょう。
「うん、たしかに」と思ったら、これからゆっくりしゃべることを前提にしていますね。
相手が何を想定しようと、二人で会うことを想定させることに成功しています。
この質問の後、先の質問をぶつけるのも良いでしょう。
ダブルバインドを効果的に使うと、YESに導く確率を上げることができます。
では最初の例、「キンキンに冷やしてからお飲みください」。
もう分かりますね。その飲み物を手にして、飲むことが前提として隠されています。
そして何となく喉が渇いて、自動販売機の前に立ったとき、「何となく」それを手にしてしまう。
これは非常に巧妙です。
けれども、質問には拒否権はありますから、確率は上がるとはいえ、断れることもあるでしょう。
少なくても、相手に+の感情を抱いてもらわないと機能しません。
上の例の「飲み物」がビールだとしたら、お酒が嫌いな人には拒否されますよね。
決断の背中を押すくらいに考えるのがいいかもしれません。
効果的にダブルバインドを機能させるには、ラポール形成をしっかりすること。
ラポールに関しては、ブログでも何度か取り上げているので、読んでみてください。
ここでは簡単に「相手を想う気持ちがないと、相手の無意識はあなたにバリアを張る」とだけ言っておきます。
いかがでしたか?
このように、催眠誘導はあなたの身近なところにも潜んでいます。
催眠や心理技術を勉強することは、健全に物事を判断する力を培うことにもなると思っています。